時効を止める・数え直す主な方法
| 方法 | 効果 | 注意点 |
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| 債務者の承認(債務承認書・一部の支払いなど) | その時から時効が新たに進む(更新) | 当事者とその承継人の間でだけ効力を持つ(民法第153条第3項) |
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| 催告(内容証明郵便など) | 6か月間、時効が完成しない(完成猶予) | 猶予の間の再度の催告では延びない(民法第150条) |
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| 協議を行う旨の書面での合意 | 原則1年間、時効が完成しない(完成猶予) | 合意を重ねられるが、本来の時効から通算5年まで(民法第151条) |
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| 裁判上の請求・支払督促 | 手続中は完成せず、判決などで確定すると新たに進む | 確定した権利の時効期間は10年(民法第147条・第169条) |
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2020年4月1日施行の改正後の民法によります。
消滅時効の数え方の例
返済期日を2022年3月31日と決めて貸したお金は、貸主は期日に返済を求められることを知っているので、一般に期日の翌日から数えて5年、2027年3月31日の経過で時効が完成します(民法第166条第1項第1号)。その前の2026年10月29日に借主が債務承認書を差し入れると、承認の日から改めて5年が数えられ、目安は2031年10月29日になります。分割返済で期限の利益を失った場合など、起算点が変わることもあります。
署名を求められた債務者が確かめること
- 金額と内訳:元金・利息・遅延損害金が、いつ時点の額かを確かめます。
- 時効が過ぎていないか:返済期日や最後に支払った日から5年(2020年3月以前の債権は改正前の期間)が過ぎていれば、承認すると時効を援用できなくなります。
- 払える返済計画か:分割の約束には、滞納したときに残りを一括で払う定めが入ることがあります。
- 迷ったら相談する:弁護士や司法書士に相談してから署名しても遅くありません。
債務承認書が必要になる場面
- 貸したお金の返済が止まり、返済期日から5年の時効が近づいているとき
- 取引先の売掛金が長く払われず、残高を確かめる書面をもらいたいとき
- 分割で返している借金について、残りの額を確かめ、返し方を決め直すとき
- 口約束で貸したお金について、借りた人に金額を認めてもらいたいとき
- 債権者から債務承認書への署名を求められ、何を認めることになるのかを確かめたいとき
債務承認書に書く項目
| 項目 | 書き方のポイント |
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| 表題・宛名 | 「債務承認書」とし、債権者の氏名に「殿」か「様」を、会社あてなら会社名に「御中」を付けます。 |
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| 債務の発生原因 | 「令和3年4月1日付け金銭消費貸借契約に基づく借入金」「令和7年分の商品代金」のように、どの債務かを特定します。 |
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| 承認する金額と基準日 | 元金の残高と、未払いの利息・遅延損害金を分けて書き、「令和8年10月29日現在」のように、いつ時点の額かを示します。 |
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| 承認の文言 | 「上記の債務を負担していることを承認します」とはっきり書きます。 |
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| 返済の約束(任意) | 返し方も約束するなら、一括か分割か、期日と金額を書きます。承認だけの書面にすることもできます。 |
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| 日付・署名押印 | 承認した日を正確に書き、債務者が住所と氏名を自署して押印します。時効は、この日から新たに進みます。 |
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債務承認書の書き方
- 宛名(債権者)と、債務の種類・発生原因(契約日と契約の名前、取引の内容)を入れます。
- 元金の残高、未払いの利息・遅延損害金と、その額がいつ時点のものか(基準日)を入れます。
- 返済の約束を「承認のみ」「一括で支払う」「分割で支払う」から選びます。分割なら毎月の額と初回の支払日を入れると、回数と最終回の額を計算します。
- 「時効の目安」に返済期日(または最後に支払った日)と、債権が生じた日を入れると、承認しなかった場合の時効の目安と、承認後の新しい目安が「自動チェック」に出ます。
- 印刷して債務者が日付・住所・氏名を確かめ、自署・押印して債権者に渡します。債権者は原本を保管し、債務者はコピーを控えにします。
債務承認書の注意点
- 承認による時効の更新は、その当事者(承認した債務者と債権者)とその承継人の間でだけ効力を持ちます(民法第153条第3項)。主たる債務者が承認すれば保証人にも効力が及びますが(民法第457条第1項)、連帯保証人だけが承認しても、主たる債務者の時効は更新されません(民法第458条・第441条)。
- 「今後、時効を主張しません」と書いても、時効の利益はあらかじめ放棄できないため、その一文に効力はありません(民法第146条)。時効の完成が近づくたびに、承認の書面を取り直すのが確実です。
- 時効期間が過ぎた後に債務を承認すると、時効の完成を知らなかったとしても、その後に時効を援用することは許されないとするのが最高裁判所の判例です(昭和41年4月20日大法廷判決)。債務者の立場で署名を求められたら、返済期日や最後に支払った日から何年たっているかを先に確かめましょう。
- 2020年3月31日以前に生じた債権(契約がそれ以前のものを含む)の時効期間は、改正前の民法によります(民法の一部を改正する法律附則第10条第4項)。改正前は原則10年で、職業別の短期消滅時効などもあり、債権の種類によって期間が違います。
関係する法令
- 民法第152条
- 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を始めます。承認には、行為能力の制限を受けていないことや、処分の権限があることは要りません。
- 民法第166条
- 債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅します。
- 民法第150条・第151条
- 催告をすると、その時から6か月が経つまでは時効が完成しません。権利について協議を行う旨の合意を書面でしたときは、原則として合意から1年を経過するまで時効は完成しません。
- 民法第145条・第146条
- 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所はそれに基づいて裁判をすることができません。時効の利益は、あらかじめ放棄することができません。
- 民法第169条
- 確定判決などで確定した権利の時効期間は、10年より短い定めがあっても10年になります。
債務承認書のよくある質問
債務承認書を書くと、時効はどうなりますか?
承認した時から、時効が新たに進み始めます(民法第152条第1項)。たとえば返済期日が2022年3月31日の借金を2026年10月29日に承認すると、それまでの期間は数え直しになり、承認の日から改めて5年が数えられます。
時効が過ぎた借金について債務承認書に署名したら、どうなりますか?
最高裁判所は、時効の完成後に債務を承認した場合、時効の完成を知らなかったときでも、その後に時効を援用することは許されないとしています(昭和41年4月20日大法廷判決)。署名する前に、時効期間が過ぎていないかを確かめてください。
債務承認書と念書の違いは何ですか?
どちらも債務者が一方的に差し入れる書面です。念書は約束ごと全般に使う表題で、債務承認書は、債務があることとその金額を認めることに目的を絞った書面です。時効の更新を確かなものにしたいなら、債務の発生原因・金額・承認日がはっきりした債務承認書が向いています。
一部だけ払ったり、口頭で認めたりした場合も承認になりますか?
承認に決まった方式はなく、一部の支払いや、支払いを待ってほしいという申入れも、一般に承認に当たると考えられています。ただし、口頭では後から証明するのが難しいため、日付入りの書面にしておくのが確実です。
債務承認書に収入印紙は必要ですか?
借金の返済期日や返済方法もあわせて約束するものは必要です。印紙税の第1号文書(消費貸借に関する契約書)に当たり、承認した金額に応じた印紙を貼りますが、その債務の金額を確定させた契約書(もとの契約書)がほかにあることを書けば、記載金額のない文書として200円です(印紙税法基本通達 別表第一 第1号の3文書の3)。売掛金など物品の売買代金の支払方法を約束するだけの書面は、課税文書に当たりません(同11)。返し方を約束せず、債務を認めるだけの書面も、この取扱いには当たりません。
債務者が承認してくれないときはどうすればいいですか?
内容証明郵便などで支払いを催告すると、その時から6か月は時効の完成が猶予されます(民法第150条第1項)。猶予の間に再び催告しても期間は延びないため(同条第2項)、その間に支払督促や訴訟などの手続を検討します。
内容の最終確認日:2026年10月29日(Daseosik編集部)。このページの解説は一般的な情報で、個別の事情に応じた法律・税務の助言ではありません。法令や運用は変わることがあるため、大切な書類は提出先や専門家(弁護士・社会保険労務士・税理士・行政書士など)にもご確認ください。