暦年課税と相続時精算課税の違い
| 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|
| 使える人 | だれでも | 原則として60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫などへの贈与 |
|---|
| 控除 | 年110万円(基礎控除) | 年110万円(基礎控除)と、累計2,500万円の特別控除 |
|---|
| 税率 | 10%〜55%(一般税率・特例税率) | 特別控除を超えた部分に一律20% |
|---|
| 相続のとき | 加算対象期間(3〜7年)内の贈与を相続財産に加算 | この制度で受けた贈与は、年110万円の基礎控除分を除いて相続財産に加算 |
|---|
| 手続 | 合計が110万円を超えた年の翌年2月1日〜3月15日に申告 | 最初の年に相続時精算課税選択届出書を出す。選んだ後は暦年課税に戻れない |
|---|
国税庁 No.4402・No.4103・No.4161・No.4408(令和8年4月1日現在法令等)。相続時精算課税の年110万円の基礎控除は、2024年1月1日以後の贈与に適用されます。
現金を贈与するときの流れ
- その年の贈与の合計を確かめる同じ年にほかの人から受ける贈与も合わせて、110万円を超えるかを見ます。
- 契約書を2通作る贈与者と受贈者(未成年なら親権者)が署名・押印し、1通ずつ持ちます。
- 受贈者名義の口座に振り込む振込みの記録が、いつ・いくら渡したかを示す資料になります。
- 受贈者が口座を管理する通帳・印鑑・キャッシュカードは受贈者が持ち、自分で使える状態にします。
- 必要なら翌年に申告する110万円を超えたら、翌年2月1日〜3月15日に受贈者が申告・納税します。
贈与契約書が必要になる場面
- 親や祖父母が、子や孫に毎年まとまったお金を渡すとき(暦年贈与)
- 住宅の購入資金や結婚・出産の費用を、親が子に渡すとき
- 自宅の土地・建物やその持分を、親から子へ、夫から妻へ贈与して名義を変えるとき
- 相続時精算課税を選んで、まとまった財産を生前に渡すとき
- 年末までに、その年の贈与として渡す額を決めておきたいとき
贈与契約書に書く項目
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|
| 表題 | 「贈与契約書」と書きます。毎年作るなら、日付で何年分の贈与かが分かるようにしておきます。 |
|---|
| 贈与者と受贈者 | 誰が誰に贈与するかを住所と氏名で特定し、「甲」「乙」と呼び分けます。 |
|---|
| 贈与する財産 | 現金なら金額、不動産なら登記事項証明書の表示どおりに書きます。持分だけを贈与するなら、その割合も書きます。 |
|---|
| 引渡しの方法と期日 | 振込みか手渡しか、いつまでに渡すかを書きます。不動産なら所有権移転登記の手続と費用の負担も決めます。 |
|---|
| 受諾 | 受贈者が受け入れたことを書きます。贈与は、受贈者の受諾で効力を生じます(民法第549条)。 |
|---|
| 日付・署名押印 | 契約日を書き、贈与者と受贈者がそれぞれ自署して押印します。受贈者が未成年なら、親権者も署名します。 |
|---|
贈与契約書の書き方
- 贈与する財産(現金の振込み・手渡し、不動産、その他)を選びます。
- 現金なら金額、引渡しの期日、受贈者名義の振込先を入れます。不動産なら登記事項証明書を見ながら所在・地番などを1行ずつ写し、全部か持分かを選びます。
- 贈与者と受贈者の住所・氏名を入れます。受贈者が未成年なら年齢欄で「18歳未満」を選び、親権者の氏名を入れると、親権者の署名欄が加わります。
- 「自動チェック」で、その年の贈与の合計が110万円を超えるか、贈与税の目安、相続税の計算に足し戻される期間を確かめます。
- 印刷して2通作り、双方が署名・押印して1通ずつ持ちます。現金は契約書のとおりに受贈者名義の口座へ振り込み、通帳やキャッシュカードは受贈者が自分で管理します。
贈与契約書の注意点
- 毎年同じ時期に同じ額を渡す場合も、その年ごとに贈与契約書を作ります。最初に「10年間、毎年100万円ずつ渡す」と約束すると、約束した年に10年分の給付を受ける権利(定期金に関する権利)の贈与を受けたものとして、贈与税がかかるとされています(国税庁 No.4402 Q&A)。
- 贈与は、受け取る側が受諾して成立します(民法第549条)。子や孫が知らないまま、親が子名義の口座に積み立てていた預金は、贈与が成立していないとされ、親の財産として相続税の対象になることがあります。
- 書面による贈与は、贈与契約の効力が生じた時に財産を取得したとされます(国税庁 No.4402 Q&A)。年末に契約書を作って振込みを翌年にすると、どちらの年の贈与かが分かりにくくなるため、その年の贈与にしたいなら、年内に契約と振込みを済ませておくと確実です。
- 不動産の贈与契約書は、印紙税の第1号文書(不動産の譲渡に関する契約書)に当たり、贈与には対価がないため、契約金額の記載のない文書として200円の印紙を貼ります(印紙税法基本通達第23条、国税庁 No.7101)。2通作れば2通ともです。現金の贈与契約書には印紙はいりません。
- 暦年課税の贈与を受けた人が、贈与者の相続で財産を受け取ると、一定期間内の贈与は相続税の計算に足し戻されます。2024年以後の贈与は、贈与者が亡くなった日から7年前までの分が対象になります(2026年中の相続は3年以内。国税庁 No.4161)。
関係する法令
- 民法第549条
- 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することで効力を生じます。
- 民法第550条
- 書面によらない贈与は、各当事者が解除できます。ただし、履行が終わった部分は解除できません。
- 民法第552条
- 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって効力を失います。
- 相続税法第28条
- 贈与税の申告が必要な人は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告書を提出します。
贈与契約書のよくある質問
贈与契約書は自分で作っても有効ですか?
はい。贈与は当事者の合意で成立し、公正証書にする必要はありません(民法第549条)。書面にしておくと、各当事者が自由に解除できる「書面によらない贈与」には当たらなくなります(民法第550条)。
110万円以下の贈与でも契約書は作ったほうがいいですか?
法律上の義務はありません。1年間に受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も要りません(国税庁 No.4402)。ただ、毎年の贈与を続けるなら、年ごとに契約書を残しておくと、いつ誰からいくら受け取ったかを示せます。
贈与税の申告は、いつ誰がしますか?
贈与を受けた人(受贈者)が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告・納税します(国税庁 No.4402)。暦年課税なら、1年間の贈与の合計が110万円を超えるときに必要です。
未成年の子や孫に贈与するときは、誰が署名しますか?
親権者が子に代わって受諾し、署名します(民法第824条)。親権は原則として父母が共同して行うため(民法第824条の2)、父母ともに署名するのが確実です。負担のない贈与を受けることは「単に権利を得る」行為なので、未成年者が自分で受諾することもできます(民法第5条第1項)。
贈与契約書に収入印紙は必要ですか?
不動産の贈与契約書は必要で、200円です。現金や預金の贈与契約書は、印紙税の課税文書に当たらないため不要です。
贈与税はいくらかかりますか?
暦年課税では、1年間の贈与の合計から110万円を引いた残りに10%〜55%の税率がかかります。18歳以上の子・孫が父母や祖父母から受けた贈与には特例税率を使い、たとえば500万円なら48.5万円です(国税庁 No.4408)。
内容の最終確認日:2026年10月29日(Daseosik編集部)。このページの解説は一般的な情報で、個別の事情に応じた法律・税務の助言ではありません。法令や運用は変わることがあるため、大切な書類は提出先や専門家(弁護士・社会保険労務士・税理士・行政書士など)にもご確認ください。