差し戻されやすい書き方と、伝わる書き方
| 項目 | 差し戻されやすい書き方 | 伝わる書き方 |
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| 目的 | 業務効率化のため | 月末の請求書作成に毎月約20時間かかっており、これを減らすため |
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| 効果 | 作業が楽になる | 作業時間を月20時間から8時間に短縮(年間で約144時間) |
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| 金額 | 約40万円 | 初期費用110,000円、月額22,000円×12か月で初年度374,000円(税込) |
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| 比較 | A社がよいと思います | 3社を比較。A社は月額が最も安く、今使っている会計ソフトと連携できる |
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| 時期 | なるべく早く | 11月中に決裁、12月1日から利用開始(年末の繁忙期の前に操作に慣れるため) |
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数字はこのページで用意した例です。
稟議が決裁されるまでの流れ
- 起案担当者が稟議書を作り、見積書やカタログなどの資料を添える
- 回覧・承認直属の上司から順に内容を確かめて押印する。疑問があれば起案者に差し戻す
- 合議経理・法務・総務など関係部署が、予算や契約条件を確認する(会社による)
- 決裁決裁権限のある人が、承認・否決・条件付き承認を決める
- 実行・保管起案者に結果が戻り、発注や契約を進める。稟議書は社内規程に従って保管する
稟議とは別に取締役会の決議が必要な案件
取締役会を置く株式会社では、原則として、会社法第362条第4項に挙げられた重要な業務執行(重要な財産の処分・譲受け、多額の借財、支配人など重要な使用人の選任・解任、支店など重要な組織の設置・変更・廃止など)は、取締役会で決めなければなりません。社長の決裁だけで済ませることはできないため、高額の設備投資や借入れ、拠点の新設などの稟議では、取締役会に付議する必要があるかを総務・法務の担当者に確かめましょう。法律に金額の基準はなく、「重要」「多額」に当たるかは、会社の規模や財産の状況などを踏まえて個別に判断されるとされています。
件名の例
- 業務用ノートパソコン5台の入れ替えの件
- 経費精算システム導入のお伺い
- 株式会社〇〇との業務委託契約締結の件
- 〇〇展示会への出展について
- 中途採用(営業職1名)実施の件
稟議書が必要になる場面
- パソコンやソフトウェアの購入、社外への作業の発注など、自分の決裁権限を超える支出をするとき
- 新しい取引先との契約や、今の契約の更新・条件変更を決めるとき
- 人員の採用、社外研修への参加、展示会への出展など、社内規程で事前の承認が必要とされているとき
- 寄付や協賛、取引先の接待など、金額は小さくても会社として判断すべき支出があるとき
稟議書に書く項目
| 項目 | 書き方のポイント |
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| 稟議番号・起案日 | 社内で稟議を管理する通し番号と、起案した日です。決裁の後で発注書や請求書と突き合わせるときの手がかりになります。 |
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| 決裁希望日 | いつまでに決めてほしいかを書きます。見積書の有効期限や発注の締め切りから逆算します。 |
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| 件名 | 「ノートパソコン購入の件」「〇〇社との業務委託契約締結のお伺い」のように、何を承認してほしいのかが件名だけで分かるようにします。 |
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| 目的・理由 | なぜ必要か、実施しないとどうなるかを書きます。故障の件数や作業時間など、今の状況を表す数字があると判断しやすくなります。 |
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| 内容・金額 | 何を、いくつ、いくらで、どこから調達するか。金額には税込か税抜かを必ず添えます。 |
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| 比較検討 | ほかの見積もりや別の方法と比べた結果と、この案を選んだ理由です。 |
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| 期待される効果 | 実施した後に何がどれだけ良くなるかを、できるだけ数字で書きます。 |
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| 予算・実施時期・支払方法・添付資料 | どの予算から支出するか、いつ実施するか、支払条件、添付する見積書やカタログを書きます。 |
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| 決裁欄・合議欄 | 承認者が押印する欄と、経理など関係部署が確認する欄です。並び順や役職名は会社の様式に合わせます。 |
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稟議書の書き方
- 起案する前に、社内の決裁権限規程(職務権限規程)で、この金額・内容を誰が決裁するのか、経理などの合議が必要かを確かめます。
- 稟議番号、起案日、決裁希望日、決裁者、起案者の所属と氏名、件名を入れます。
- 目的・理由、内容、比較検討、期待される効果を書きます。1つの欄に1つの話題だけを書くと、承認者が読み進めやすくなります。
- 費用明細に、1行に1品目ずつ「品名 / 数量 / 単価」と入れます。税抜の小計、消費税、税込合計が自動で計算され、文書の「金額」の欄にも反映されます。軽減税率の品目は「品名 / 8 / 数量 / 単価」と税率を入れます。
- 決裁欄と合議欄の役職を自社の様式に合わせて直し、「自動チェック」で記入漏れを確かめてから、印刷・PDF・Excelで保存して回覧します。
稟議書の注意点
- 決裁者がすべての案件に詳しいとは限りません。社内の略語や専門用語は避け、「何に、いくら使い、何が良くなるか」が件名と目的の最初の2〜3行で伝わるようにします。
- 決裁権限規程の金額基準が税抜か税込かを確かめてから、決裁者を選びます。このページでは、単価を税抜・税込のどちらで入れても、両方の金額を表示します。
- 月額料金のサービスは、月額だけでなく契約期間全体の総額(例:月額22,000円×12か月)も書きます。最低利用期間や解約の条件も添えておくと、決裁後の費用の見込み違いを防げます。
- 見積書の有効期限と決裁希望日を見比べておきます。決裁が期限に間に合わないと、見積もりを取り直すことになります。
- 差し戻されたら、指摘された箇所だけでなく、同じ疑問が出そうな箇所もあわせて直します。差し戻しの理由と直した点を内容欄の最後に書き添えると、2回目の回覧が早く進みます。
- 決裁が下りる前に発注や契約を済ませてしまう「事後稟議」は、社内規程で認められていないことがあります。やむを得ず先に進めたときは、誰の了承をいつ得たかを稟議書に書いておきます。
関係する法令
- 会社法第362条
- 取締役会は、重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財、支配人その他の重要な使用人の選任及び解任、支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止などの重要な業務執行の決定を、取締役に委任することができません(第4項)。取締役会設置会社では、これらに当たる案件は、稟議で決裁を受けても、別に取締役会の決議が必要です(監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社には別の定めがあります)。
稟議書のよくある質問
稟議書と起案書・伺い書は何が違いますか?
呼び方の違いで、役割はほぼ同じです。担当者が案を作って上司の承認を求める文書を、会社によって稟議書、起案書、伺い書などと呼びます。社内で決まった名称や様式があれば、それに合わせます。
「稟議」は何と読みますか?
一般に「りんぎ」と読みます。本来の読みは「ひんぎ」で、「りんぎ」は慣用的な読み方とされています。
稟議書の金額は税込と税抜のどちらで書きますか?
社内の決まりに合わせます。決まりがなければ、税込の合計に「税込」と明記し、税抜の金額と消費税額も添えておくと誤解がありません。このページの「金額」の欄は、税込合計と消費税額を並べて表示します。
決裁者を下げるために、金額を分けて起案してもいいですか?
避けてください。1つの購入や契約を複数の稟議に分けると、本来の決裁者の判断を経ないことになり、社内規程違反を問われるおそれがあります。分けて発注する事情があるときは、全体の金額を示したうえで1件として起案します。
稟議が差し戻されやすいのはどんなときですか?
目的や効果が具体的でない、ほかの案と比べた形跡がない、金額の根拠となる見積書がない、といったときです。決裁者が「なぜ今、なぜこの金額で、なぜこの相手か」に答えられる材料をそろえておきます。
ワークフローシステム(電子稟議)でも同じ書き方でいいですか?
はい。入力画面の項目に合わせて、目的・内容・金額・比較検討・効果を同じように書けば足ります。このページで下書きを作り、本文を貼り付けて使うこともできます。
内容の最終確認日:2026年10月21日(Daseosik編集部)。このページの解説は一般的な情報で、個別の事情に応じた法律・税務の助言ではありません。法令や運用は変わることがあるため、大切な書類は提出先や専門家(弁護士・社会保険労務士・税理士・行政書士など)にもご確認ください。